電気通信事業者は、国内で通信サービスを提供する際に、事業者としての登録や届け出が必要となります。この記事では、電気通信事業者の届出手続きの概要や注意点について解説します。
当社は、届出電気通信事業者に該当します。
電気通信事業者の登録と届け出の違い
電気通信事業者には、「登録」と「届け出」の2種類があります。それぞれの違いを説明します。
電気通信事業者の登録
登録が必要な事業は、一定規模以上の電気通信インフラを持つ事業者が対象です。主に以下のようなケースが該当します。
- 自社の通信設備を使って通信サービスを提供する事業者
- 光ファイバーや通信衛星など高度な技術を利用した通信サービス提供の事業者
- 自動車電話など無線通信を活用した事業者
登録制度に基づく申請や審査が必要で、合格すれば登録される形になります。登録を行うことで、国の監督や指導が受けられるため、品質や安全性に関する信頼性が高まります。
また、電気通信主任技術者を選任する必要があります。
登録事業者の場合は、専門の電気通信主任技術者がいらっしゃるかと思いますので詳細は省略します。
電気通信事業者の届け出
届け出が必要な事業は、規模が小さいか、他社の設備を利用して通信サービスを提供する事業者が対象です。主に以下のようなケースが該当します。
- 他の電気通信事業者から設備を借りてサービスを提供する事業者(MVNO、光コラボレーション等)
- インターネットサービスプロバイダ (ISP) など、独自の大規模インフラを持たないサービス事業者
届け出制度では、事業開始前に所轄官庁(総務省等)へ届け出ることが求められますが、登録制度と比べて審査が簡素化されており、事業内容や規模に応じた手続きが可能です。
ホスティングサービス等を提供して、メールサービスが主な事業内容となる場合等、電気通信事業者の届け出が必要になることがあります。具体的な判断には、所轄官庁(総務省等)や専門家に相談することが望ましいです。
電気通信事業参入マニュアル(追補版)ガイドブック https://www.soumu.go.jp/main_content/000799137.pdf
届出書類(届出電気通信事業)のダウンロード(国内法人等向け)
https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/denkitsushin_suishin/tetsuzuki/kokunaihoujin.html
届け出手続きの流れ
電気通信事業者としての届け出手続きは、以下の手順で行われます。
- 届出書の作成: 電気通信事業者が提供するサービス内容や設備に関する情報などを記載した届出書を作成します。
- 所轄官庁への提出: 作成された届出書を、所轄官庁(総務省等)に提出します。
- 審査: 所轄官庁が届出書の内容を審査し、適切であるかどうかを判断します。
届出が受理されてから 15日ほどかかります。 - 届出完了: 審査が無事通過すれば、電気通信事業者としての届け出が完了となります。
- 通知書: 受理されてから15日ほどで同封の返信用封筒で届出番号の通知書が届きます。
注意点
電気通信事業者としての届け出には、以下のような注意点があります。
- 届け出手続きは、サービス提供開始前に行う必要があります。
- 届出書の内容に不備がある場合、審査が通らず届出ができないことがあります。書類作成時には十分注意が必要です。特にネットワーク図は、申請したサービス内容と矛盾が無いように作成してください。
- 関連法令の遵守が求められるため、事業者は法令改正や通信環境の変化に注意を払う必要があります。
まとめ
それぞれの違いを簡単にまとめると、登録が必要な事業は一定規模以上のインフラを持ち、独自の通信設備でサービスを提供する事業者が対象であり、届け出が必要な事業は規模が小さいか、他社の設備を利用してサービスを提供する事業者が対象です。
そして、登録制度は申請や審査が厳格で品質や安全性に関する信頼性が高まる一方、届け出制度は手続きが簡素化されており、事業内容や規模に応じた手続きが可能です。
この記事が、電気通信事業者の届け出に関心を持つ方々の参考になれば幸いです。