合同会社の設立

合同会社の設立は、ビジネスを始める際に選べる企業形態の一つとなります。株式会社に比べて世間からの信用度は低い可能性がありますが、設立資金を抑えることができ、さらには会社運営を簡素化するメリットも存在します。
節税の目的で、個人事業主から法人に移行する方々も多いと考えられます。
本記事では、合同会社の設立準備について具体的に説明し、手続きの流れやポイントについて詳しく解説いたします。

目次

合同会社のメリット・デメリット

まず、合同会社のメリット・デメリットについて整理しておきます。

メリット

  • 設立が比較的容易で手続きが簡素
  • 社員の責任が限定されるため、リスクが低い
  • 社員間での取り決めが柔軟に行える

デメリット

  • 認知度が他の法人形態より低い
  • 銀行からの融資が受けづらいことがある

設立準備の流れ

次に、合同会社の設立準備に必要な手続きを順を追って紹介します。

法務局へ提出する書類の作成

登記簿に記載する事項を決定する

まず、登記に必要な定款に記載する事項を決めましょう。以下は主な記載事項です。

  • 社名
  • 本店所在地
  • 事業内容(一般的には6個くらいまで)
  • 代表
  • 資本金

特に社名や事業内容は重要なので、時間をかけて慎重に検討しましょう。

合同会社の資本金は1円からでも設立できますが、常識的に1円では会社運営はできません。
適切な資本金は業種にもよりますが、IT系のベンチャーであればそれほど必要ないと思います。
しかし、多くの企業で新たな取引開始時に与信調査が入ります。新規設立法人の場合は、実績が無いので経営者の経歴や業務内容, 資本金も参考にされると思います。資本金については以前の有限会社の下限が300万円でしたので、300万円以上とか、最低100万円は・・・という意見をよくききます。与信調査が心配な方は十分な資本金を設定されたほうが良いと思います。
私は、必要になれば増資や株式会社に変更すれば良いと思い、開業資金は100万円としました。設立準備に費用がかかりますので、実際の資本金は 85万円としました。
当面の事業に必要なものは、全て現物(出資ではない)を役員からの無償提供しています。
現物出資は、書類作成の手間がかかることや、出資者の所得税に影響するので避けました。

決算月は後からでも変更できますが、決算月によって税理士報酬が変わることもありますので繁忙期をさけて閑散期(6月~10月)にすることも検討されると良いかと思います。

書類作成の依頼先

定款は司法書士に作成してもらいます。
定款だけなら、行政書士でもできますが、登記書類は司法書士しかできませんので全て司法書士に任せれば良いかと思います。
従来の紙の定款より、電子署名した電子定款で提出するほうが安くすみます。
当社では、書類作成を会社法人センター(司法書士事務所)様へお願いしました。

外部リンク: 会社法人センター様
https://kaisha-kakuyasu.com/

Webのフォームから必要事項を入力し、手数料を振り込むだけで対応がスムーズでした。連絡もすぐにいただけます。

申請自体は30分程度で完了しました。当社の場合は、定款に記載する事業内容について修正が必要でしたので、メールでやりとりがありました。

法人用の印鑑セット

法人用の印鑑セット(実印・銀行印・角印)も同時に発注することができます。
価格もリーズナブルですので、特にこだわりがなければセットで申し込むことをお勧めします。

届出内容の確認

翌日に、分かりやすい書類作成マニュアルと必要事項を記入済みの各種申請書や電子定款のCD-ROM等が届きました。

当社では、印鑑セットもあわせて注文して印鑑も一緒に届いたので、すぐに書類作成にとりかかれました。

  1. 定款の確認
    作成いただいた定款に間違いが無いか確認します。
  2. 各種申請書類の確認
    社名、代表者等に間違いが無いか確認します。
  3. 間違いが無ければ、日付の記入と押印して法務局提出書類は完成です。

払込証明書を作成

資本金の入金と関連する書類作成についてまとめます。

  1. 資本金の入金: 定款に記載した資本金は、書類作成日から法務局に登記する日までの間に入金して記帳します。口座に資本金以上ある場合でも、いったん出金して入金する必要があります。
  2. 入金確認書類の作成: 入金があるページを含む銀行口座情報(表紙、口座番号等)をコピーし、添付します。オンライン専用銀行の場合: ダウンロードした情報の印刷でも問題ありません。
  3. 法務局への提出: 上記の書類は、法務局に登記申請する際に必要となります。

法務局へ提出

法務局へ提出して受理された日が、会社設立日となります。
法務局で申請書類を軽くチェックしていただき不備がなければ 6万円の印紙を購入して貼り付けて提出します。
1週間くらいで登記が完了します。その後、印鑑カードを受け取り銀行口座開設等に必要な登記簿や印鑑証明を発行しておきます。

銀行口座開設

最近は法人口座開設の審査が厳しくなってきていますので、新規設立法人の場合、実績が無いため事業計画書を作成して提出する必要があります。事業計画といっても簡単なもので問題なさそうです。

当社は、地元の十六銀行さんとGMOあおぞらネット銀行さんで口座を開設しました。
資本金を個人口座から振り込みして、銀行口座の準備は完了です。

設立後の手続き

設立登記完了後も必要な手続きがあります。
市役所や税務署への申請書類も会社法人センター様に依頼すれば無料で作成していただけますが、実際に顧問契約する税理士が決まっているならそちらに依頼しましょう。
市役所と県税事務所への開業届は個人でも簡単に作成できると思います。
税務署への提出書類は税理士にお願いすることをお勧めします。

  • 開業届け出
  • 国税庁への税務関連手続き
  • 労働保険・雇用保険の手続き
  • 税理士との顧問契約

これらの手続きを進めていくことで、合同会社としての運営がスムーズになるでしょう。

各種印刷物

各種スタンプ、社名入り封筒、名刺、表札等最低限必要なものを発注します。
ここまでの総額で、約10万円ほどです。

名刺や封筒等の印刷物はラクスルさんに依頼しました。
ラクスル https://raksul.com/

税理士

税理士との顧問契約は、売り上げが少ないうちは報酬を安くしていただけるようにお願いできる場合もあります。
税理士との相性はとても大切です。
私は、何カ所か相談してみましたが、税理士により得意な分野も違えば対応にも差がすごくあります。
最終的に非常に良い税理士にお願いすることができて良かったと思っています。

会計ソフトは会計知識があまり無くても使えそうな クラウド会計ソフト freee会計 にしました。
クラウド会計ソフト freee会計 https://www.freee.co.jp/

会計ソフトは、契約する税理士により得意なものやお勧めがあるかと思いますので、基本的には契約する税理士と相談して決めてください。
freeeを使うならfreee認定アドバイザリーの税理士に依頼すると、色々な特典があったりします。

まとめ

合同会社の設立をテーマに、手続きやポイントを説明しました。事業計画書の作成や登記申請など、段階的に進めていくことで効率よく設立を進めることができます。ぜひ参考にしてください。

私は経理や税金には詳しくないので、以下の3冊の本を読みました。

・豊富な仕訳例で世界一使いやすい!勘定科目と仕訳の事典 第2版
・5訂版 Q&Aでよくわかる 消費税 インボイス対応 要点ナビ
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